曝気槽での発泡現象の原因と対策

この記事はこんな方、こんなお困りごとにおススメです

  • 排水処理設備の施設管理ご担当者様
  • 曝気槽での発泡現象にお悩みの方
  • 粘性スカムでお困りの方
  • 汚泥の越流、透視度低下、放流水水質の悪化でお困りの方

泡やスカムの色、粘性、臭気などに特徴があります。

微生物由来の発泡

放線菌由来の発泡
泡の中の放線菌(顕微鏡写真)

放線菌や一部の糸状菌が生成する疎水性物質が蓄積すると発泡します。このとき発生した泡は粘性があり、散水しても消えない性質があります。また、毒物や栄養バランス不良による増粘性物質(バイオポリマー)の蓄積やズーグレア、酵母の異常増殖、嫌気発酵や酸発酵、脱窒などのガスに起因した発泡などもあります。

対策

  • BOD汚泥負荷や栄養バランスが適切であるかを検証
  • 原水中の毒物や阻害性物質、pHなどの見直し
  • 調整槽や曝気槽の容積負荷や曝気量、汚泥返送率などの見直し
  • 原水の水質にあった能力に設備を改善

油脂やタンパク質由来の発泡

食肉加工場や水産加工場、洋菓子工場、調味液製造工場、野菜加工場などからは、油脂やタンパク質、デンプン(水溶性デンプンやアク、ペクチン)や増粘剤、乳化剤などが排水に流れ込みます。この原水負荷に設備が適していない場合、慢性的な発泡が起きます。

対策

  • 負荷を下げる対策を講じる(スクリーンや加圧浮上装置の設置)
  • 現在の設備を増強する(流動担体や特殊曝気装置、油脂分散装置で処理効率を上げる方法の導入)
  • 薬剤を併用する(油分解微生物剤や酵素製剤を投入する)

洗剤や毒性物質(殺菌剤など)由来の発泡

工場で使用した洗剤が原因で発泡することがあります。特に、ノニオン系界面活性剤やキレート剤を多く含む洗剤は、微生物由来の疎水性物質や油脂分と化合し、より強固な泡を生成することが知られています。

一般的に洗剤由来の発泡は、白っぽく、泡の表面がキラキラしており、散水で対処可能である特徴があります。しかし、洗剤の排水量は平常時と変わらないのに・・・と言う場合でも、微生物由来の原因と合わさると、散水や消泡剤の投入では対応できない症状を引き起こします。

また、アルカリ洗剤や塩素系洗剤が多量に流れ込むと、曝気槽の有用菌類が死滅あるいは、増粘性のバイオポリマーの異常生成を誘発させます。

対策

  • 曝気槽の有用菌への阻害要因を除去(pH中和装置、塩素中和装置の設置)
  • 難分解性物質の分解を強化(曝気装置、担体などの導入)
  • 曝気槽への急な影響を緩衝(ステップエアレーション法の導入や調整槽の改良)
  • 散水消泡設備や消泡剤の使用

汚泥日齢やBOD汚泥負荷、DOの管理

慢性的な発泡は、曝気槽内の有用菌の生息環境が適していないことを示す兆候の1つです。原水の負荷が高すぎる場合は汚泥が若くなり、白濁や白い発泡を生じます。一方で、余剰汚泥の引抜量が適切でない場合は、褐色の粘性発泡を生じます。DO不足ですと、酸発酵等を生じさせ、DO過多ですと、有害菌の異常増殖を引き起こし、結果として、発泡を生じます。このような場合は、調整槽からの悪臭、pH異常、センターウェルからの発泡、水質異常などの様々な症状を併発させることがあります。

ポイント

  • 原水負荷の見直し(現在の排水量や排水負荷、設備能力を再度検証)
  • 現在の状況にあった設備へ増設改善
  • 高性能な設備装置を検討(昔よりもより省エネ、コンパクトな設備が多数開発されています)

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