膜分離による処理について

膜分離活性汚泥法(MBR)について

膜分離活性汚泥法は、MF膜を用いて活性汚泥と処理水を分離する方法です。下記に、従来法である活性汚泥法との比較を示します。

これまで、活性汚泥法では活性汚泥と処理水を分離するために沈殿槽が必要でした。この方法は、簡潔で建設費用が安くできるなどのメリットがありますが、そのぶん大きな沈殿槽を必要とし、大きな敷地面積が必要であることや、汚泥と処理水との分離が活性汚泥の性状に左右される点から、維持管理に手間がかかるというデメリットがあります。対して、膜分離活性汚泥法(MBR)はMF膜を用いて強制的に固形分離を行うため、確実にきれいな処理水が得られる方法です。

ココがおすすめ

  • 活性汚泥法と比べて、小さな敷地面積で対応可能(大きな沈殿槽が不要)
  • 活性汚泥が処理水に混ざって排出される(キャリーオーバー)がない
  • MLSS濃度を高くして運転が可能なので、曝気槽の容量を小さくできる

ココが短所

  • 膜が汚染されるので定期的に薬品洗浄が必要
  • 定期的な交換が必要なのでコストがかかる
  • 活性汚泥法よりも吸引などの動力が必要となるため電気料金がよりかかかる

膜分離活性汚泥法の特徴

活性汚泥の状況に関わらず固液分離が可能

活性汚泥法では、活性汚泥がうまく機能していない場合、汚泥が沈みにくかったり発泡したりといった現象がおきます。その場合、沈殿槽で処理水と活性汚泥を自然沈降だけで分離することは難しく、例えば薬剤を使用するなどの対応を行う必要が生じたり、良好な活性汚泥を育てるための詳細な管理などが必要です。

注意ポイント

ただし、膜分離活性汚泥法でも活性汚泥の管理が悪ければ吸引が出来なくなる(処理水が得られなくなる)ので、活性汚泥の監視は必要です。

固液分離が確実で処理水に懸濁物質が混じらない

活性汚泥法では、バルキング現象などが発生していた場合、沈殿槽でうまく沈降が進まず、処理水に活性汚泥が混じり流出する事態(キャリーオーバー)などが発生することがあります。対して、膜分離活性汚泥法は分離膜を用いて強制的に固液分離を進めるため、安定した処理が可能となっています。

MLSS濃度を高くして運転できるので処理設備が小さくなる

膜分離活性汚泥法では、MF膜で強制的に固形分離を行うため、汚泥分離のための沈降時間が不要なため、曝気槽での汚泥濃度を7000~15000mg/L程度まで高めた状態で運転が可能なので、その分小さな曝気槽容量で処理が可能です。

適切な管理で安定した処理が可能

膜分離活性汚泥法で用いられるMF膜は使用していくにあたって、劣化またはファウリングすることによって性能が低下することがあります。

ファウリングとは、膜の表面などに付着物が蓄積して、閉塞などが発生して起こる性能の変化のことをいいます。

ポイント

排水には様々な物質が含まれるので、膜処理を進めていくと必ず物質が蓄積して、ファウリングが起きます。ファウリングの防止として、定期的に物理・化学洗浄を実施することで、安定した処理水を得ることが可能です。

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既存設備を改良して膜分離活性法による処理を導入

排水処理施設は、原水の濃度や排水の発生量によって設計をされています。しかし、生産品目の変更や、生産量の増加で処理不良が続いている施設も多いのではないでしょうか?

排水の変化に設備が対応できず、うまく処理が行えていない場合があります。その場合、既存の排水処理施設を活かしながら、膜分離処理が可能な設備へと作り替えて、処理能力をアップさせることが可能です!

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