有機系の汚染物質を含む排水の処理方法

この記事はこんな方、こんなお困りごとにおススメです

  • これから工場を新たに建設をされようと計画されている方
  • 既存の排水処理にトラブルが発生し困っている方
  • どのような排水処理があるか、どんな特徴があるのか知りたい方
  • 食品工場や水産加工場など有機系の排水が発生する工場の管理ご担当者様

有機系排水は微生物による分解(活性汚泥法)が安価で効率的

活性汚泥法とは、曝気槽内で排水と好気性微生物を空気を送り込みながら接触させることによって分解し、排水を浄化する方法です。好気性微生物は、有機物を分解すると増殖し、活性汚泥というフロック(かたまり)を形成します。

活性汚泥は、後段の沈殿槽で沈殿するので、排水は下層にフロック、上層に浄化された上澄水に分離されます。上澄水は排水基準を満たせば処理設備内から放流することができます。

好気性微生物が、排水中の有機物を分解してきれいにする。

好気性微生物は有機物を分解しながら増殖し、フロックを形成する。

汚泥は沈殿槽で沈殿し、分解され浄化された上澄水とフロックに分離される。

規模や要望など現場に合わせて選択できる処理方式

好気性微生物にも排水中の汚れ分(BOD分など)を分解できる許容範囲があるため、処理設備の設計の際には下記のような情報を収集することから始めます。

原水の水質分析を実施する

原水に含まれる物質とその値によっては、活性汚泥による分解を良好に進めるためには前処理を行い、除去したり調整したりする必要があります。また汚れ分(BODなど)が高い場合は、それに合わせた大きな処理施設が必要となったり、流動担体などを用いて高度処理を行う必要があります。主に、pH・BOD・COD・全窒素・全リン・SS・ノルマルヘキサンなどの項目を分析しその値を確認します。

1日の排水量を算出する

原水の性状と排水量によって処理施設の規模を決定します。

生産工程などにより、どのタイミングでどんな排水が排出されるかを確認する

排水処理においてどれくらいの処理時間で浄化を行うかを決定します。

排水処理設備のためのスペースがどれくらい必要か、どんな場所に設置検討中か確認する

排水処理のためのスペースが狭い場合など、省スペースでも処理可能な処理方式を選択する必要があります。

排水の排出先は河川であるか、下水道であるか

排出先によって、排水の排出基準値が異なります。設置場所によっては、その場所独自の排出基準値などが設定されている場合もあるので、排出基準値をクリアできるように、排水処理を実施する必要があります。

活性汚泥処理を活用した排水処理システム

活性汚泥処理を活用した排水処理システムはいくつかあります。

前項で確認した条件をもとに、最適な処理方式を選択します。下記に、その処理方式をいくつか紹介します。

回分式活性汚泥法(少量排水におすすめ)

回分式活性汚泥法は図1のように、一つの槽で①「排水の流入」②「曝気をしながら有機物を分解」③「沈殿させ固液分離」④「上澄水(処理水)の排出」を同一槽内で行う手法です。

回分式活性汚泥法の工程と特徴

図1:回分式の処理工程

特徴

  • 一つの槽で「微生物による分解(曝気槽)」「固液分離(沈殿槽)」の役割を兼ねるので、装置の構造がシンプル
  • 汚泥と処理水の分離が良い
  • 排水が流入する際や沈殿の際は曝気を止めることで槽内が嫌気状態となるため、脱窒効果が期待できる

回分式活性汚泥法の処理フロー

図2:回分式の処理フロー

回分式による処理の場合、主に「調整槽」と「回分式処理槽」により処理を行います。

調整槽では、排水が腐敗しないようにと攪拌(排水の均一化)のため、常時曝気を行います。

この処理がおすすめな現場

  • 1日の排水量が50㎥程度の現場
  • 原水のBODの値が300mg/L以下の現場

連続式活性汚泥法

連続式活性汚泥法は、回分式のように一時的に曝気を止めたりせず、常時「排水の導入」「曝気」「処理水の排出」を連続的に行う処理方式で、図3のような処理フローとなります。

図3:連続式活性汚泥法の処理フロー

特徴

  • 常時排水を処理することができるので、大量の排水に対応が可能
  • 高濃度の排水でも処理が可能
  • 曝気槽を多段にすることで、微生物の菌叢が充実し、より良い処理水を得ることができる

この処理がおすすめな現場

  • 1日の排水量が50㎥以上の現場
  • 原水のBODの値が300mg/L以上の現場
  • 比較的スペースに余裕があり安定した処理を実現したい現場

膜分離式活性汚泥法

膜分離活性汚泥法は、MF膜を用いて活性汚泥と処理水を分離する方法で図4のようなフローとなります。従って汚泥と処理水の分離のための大きな沈殿槽が不要なため、設備のためのスペースが大幅に低減できます。

また、膜分離活性汚泥法では汚泥濃度を7000~15000mg/L程度まで高めた運転が可能なため、小さな曝気槽で対応が可能です。

図4:膜分離活性汚泥法の処理フロー

特徴

  • MF膜による固液分離のため、沈殿槽での沈降不良などで処理水へのキャリーオーバーが起きることがない
  • 曝気槽でのMLSS濃度を高く設定できるので、高い濃度の排水でも比較的少スペースな設備で対応可能

この処理がおすすめな現場

  • 高濃度で1日の排水量が50㎥以上あり、かつ排水処理のためのスペースがとりづらい現場
  • バルキングなど沈降不良による処理水悪化を防止したい現場

流動担体やバイオモジュールを組み合わせてさらに高効率処理が可能

特殊流動担体の活用

特殊流動担体は、1つにたくさんの微細な穴を持ち、その中で微生物を多く保持しています。MLSS濃度を高く保持したまま処理が可能なため、同じスペース内で高効率に排水の浄化が進みます

より大きな処理槽はスペース的に導入が難しそうだけど、もう少し高い濃度の排水にも対応したい!といった現場におススメです。

バイオモジュールの活用

バイオモジュールは比表面積が広く、微生物を高濃度に保つことが可能です。また、バイオモジュールは固定されているため、接触材の漏れ出しなども起こらず管理が簡単です。

また、微細なフロックなどがモジュールに付着することにより、沈降不良が起きづらい性質も持っています。

おすすめ

現場に合わせた最適な排水処理設備をご提案します(外部サイトへ)

排水処理設備バイオバランスページへ

おすすめ

排水処理施設立ち上げ時のシーディング剤や
汚泥の活性を高める各種排水処理薬品をラインナップ(外部サイトへ)

排水処理薬品ページへ

-Uncategorized