水産加工排水の特徴と対応

この記事はこんな方、こんなお困りごとにおススメです

  • 水産加工会社の排水処理ご担当者様
  • 水産加工にて排水処理設備の導入・改修を検討している方
  • 現在稼働中の排水処理施設でトラブルが発生している現場の担当者様

水産加工排水の特徴

  • 魚をつかった加工品の場合、前処理工程で鱗が発生するので、懸濁物質が多く含まれます。
  • 魚をつかった加工品の場合、魚を解体するときに、血液を含んだ排水が発生します。
  • 脂が多い原料を使う工場では、排水に多くの油脂分が含まれます。これは壁面などに付着しつまりの原因になったり、悪臭が発生する要因となります。
  • 原料が凍結されている場合は、解凍にともなって冷たい解凍排水が発生し、製品加工の加温がされる場合などは高温の排水がはっせいするなど、各種加工工程において水温に振れ幅が生じます。
  • 原材料の漁獲時期によって排水量やその汚染具合が大きく異なる特徴があります。
  • 調味料で味付けをした加工品の場合、調味料の種類やその濃度によって、BOD値が高くなる傾向にある。
  • うま味調味料の影響などで、排水に含まれるリンの値が高くなる傾向にある。
  • 海水やつけ置きした塩水の影響で塩分濃度が高くなる傾向があります。
  • 衛生管理のため次亜塩素酸ナトリウムなどで殺菌をすることで、薬剤の流入が考えられます。

水産加工の排水処理で必要な設備や注意点

漁獲などの影響により季節変動などにより水質の変化が大きい傾向にある水産加工排水は、比較的安価で安定した処理が可能な「生物処理」が好ましいとされています。生物処理を行っていくにあたって下記のような処理場の注意があります。

スクリーンを設置し夾雑物を除去する

ポンプや機械などの保護のために、魚のうろこなどの夾雑物を取り除きます。夾雑物を取り除くことは、余分な薬剤添加などを防止する効果もあります。除去したい夾雑物に合わせて、目の開き(目幅)などを選択します。

加圧浮上装置で油脂を除去する

油分を多く含む排水は、微生物による処理において悪影響を及ぼしたり、沈殿槽での汚泥浮上の原因となることがあるので、必要に応じて油分を取り除きます。

油脂の分離が不十分である場合、油分が酸化して悪臭の原因となったり、ポンプや壁面などに付着し汚染の原因となる場合があります。

流量調整槽の設置(排水の流量と濃度を均一にする)

活性汚泥法で処理の主軸を担う微生物は、急激な原水の変化に対応が難しいため、ある程度安定した排水になるように調整を行う必要があります。そこで、処理の最初に流量調整槽を設け、流量とBOD濃度を一定にする必要があります。

また、この流量調整槽では高温・低温排水が発生した際の、大幅な水温変化にも役立ちます。

殺菌剤の無毒化(曝気槽に流入すると微生物が死滅する)

衛生管理などのため、殺菌剤として次亜塩素酸ナトリウムなどを使用した際は、その殺菌水が曝気槽に入り込んでしまうと、濃度によっては曝気槽中の微生物が死滅してしまう可能性があります。

殺菌剤を無毒化するために、亜硫酸ソーダのような還元剤を使って、微生物への悪影響を除去します。

高BODの場合は流動担体などをうまく活用して高効率運転を行う

原水のBOD値が高い場合、それを処理できるだけの大きな処理槽が必要となります。しかし、すでに処理設備があり、処理が間に合っていないような状況の場合、排出する水質が基準値を超えてしまうことがあります。

このような場合、既存設備をうまく活用しながら、流動担体などで高いMLSS値を保った状態で処理をすると、高効率処理が可能となり、少ないスペースで高いBODを処理可能です。

省スペースで高BODにも対応する方法

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漁獲の関係で一定期間処理がストップした際は注意が必要

漁獲の関係で、生産が止まり排水の排出がストップしている期間は、曝気槽内の微生物は栄養供給が止まってしまい、死滅してしまうことがあります。この場合、浄化作用は維持ができないため、処理の再開後は適切に浄化作用回復の処理を行う必要があります。

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凝集処理によりリンの除去を行う

原水のリンが高い場合は、凝集剤による凝集処理によってリンの除去を行います。

処理水として放流する最終段階(微生物処理が終わった水)に対して凝集剤を添加し、リンの除去を行います。凝集剤が必要量は、凝集試験によって判断します。

-排水処理